スポーツ外傷・障害
ふくらはぎの損傷
ふくらはぎの肉離れ
ふくらはぎの肉離れは競技中によく発生しますが、特に冬場に多く発生します。
ウォーミングアップの不足や疲労の蓄積などが一因です。
ふくらはぎには腓腹筋とヒラメ筋という大きな2つの筋肉があり、この筋肉がアキレス腱となり踵の骨に連結しています。
ふくらはぎの肉離れは内側の腓腹筋によく発生します。
腓腹筋がアキレス腱に移行する部分(筋腱移行部)に好発します。
ふくらはぎを損傷する時には、筋肉がはじけるような感覚とその音が聞こえることがあります。(アキレス腱の断裂時と同じような感じ)
そして直後にその痛みの部位の筋肉が落ち込んでいる(へこみ)様子がわかる事もあります。
左右のふくらはぎを比べるとその違いがよくわかります。
その後徐々に腫れてきて、数日でふくらはぎからアキレス腱と足首にかけて内出血が広がっていきます。
筋肉の損傷状態はGrade 1~3に分類されます。
Grade 1: 軽度損傷
筋肉の浅い層(筋膜)が傷ついた程度で、痛むが、筋力が発揮できる状態。
Grade 2: 中等度損傷
筋肉の部分的な損傷が認められ、筋力が充分に発揮できない状態。
Grade 3: 重度損傷
筋肉の損傷が深部にまで及び、(完全に断裂していることもある)筋力が発揮できない状態。
対処方法
すぐにRICE処置
- Rest:安静
運動を中止して患部の安静をはかって下さい。 - Icing:アイシング
大きめの袋に氷を入れて、患部を冷やします。20分×3セット - Compression:圧迫
バンテージや伸縮する包帯でふくらはぎを巻き圧迫をかけます。
出来るだけ広い範囲に巻いて下さい。 - Elevation:挙上
寝転んで、足を椅子やクッションの上に置いて、心臓よりもふくらはぎを高い位置に置いて下さい。
RICE処置を的確に行うだけで、治るのが確実に早くなりますので、受傷後すぐに行って下さい。
急性期の対応
できるだけすぐに、スポーツドクターかメディカルトレーナーに診てもらうことが大切です。
まず触診による損傷部の位置確認と、エコー検査による損傷程度の把握を行います。
それにもとづいて筋力テストを行い、損傷程度とその筋肉に残されたポテンシャルを確認します。
これらのデータを元に、治療とリハビリテーションの計画を立てます。
その後も、治癒課程を確認しながら、治療計画とリハビリメニューの微調節は忘れてはなりません。
この確認事項をおろそかにすると、リハビリやトレーニングによる悪化や再発を招く可能性が生じますので要注意です。
早期の治療(受傷後〜2週間)
内出血と腫れができるだけ早く軽減するように、受傷後48~72時間は圧迫を継続します。
その後出血と炎症がおさまる頃から、早期リハビリテーション(特に求心性収縮) とリンパマッサージ、鍼灸、超音波、ハイボルテージ治療などで、筋肉の萎縮と瘢痕形成(筋肉内にできるしこり)を最小限に抑えるようにします。
またほとんどの選手はケガをすると完全休養になりがちですが、患部外や反対側のトレーニングを忘れずにおこなって下さい。
中期の治療(受傷後2〜3週)
ふくらはぎ全体に内出血が広がり真っ青になっていることが多い時期です。
アキレス腱や足の甲まで広がる事もあります。
オイルマッサージなどで、深部の血行促進と瘢痕(しこり)を早期に取り除きます。
こうする事で後々の再発予防につながります。
この時期には等尺性収縮トレーニングと自重もしくは軽いウェイトを使ったトレーニング開始します。
受傷後期(4週〜)
治療よりもリハビリとトレーニングがメインとなります。
遠心性収縮トレーニングで筋力のアップとアキレス腱と下腿三頭筋の伸張性を回復させます。
これを怠ってしまうと最大筋力が発揮できない筋肉になってしまいます。
これは筋肉と腱の協調性が充分に取り戻せていないからであり、復帰後になかなか調子が上がらない選手には、こういったリハビリが不十分なことが多いです。
リハビリテーションと再発予防がとても大切!
この筋肉はとてもデリケートで一度損傷するとよく再発することがあります。
リハビリのポイントは『急がない 無理をしない』です。
リハビリのプログラムは必ず専門家とこまめにコンタクトをとってすすめる事が大切です!
再発予防について
- ウォーミングアップとダウンはしっかり行って下さい。アップの際にはその日のふくらはぎの状態を調べるように身体を動かして下さい。
- 柔軟性を取り戻すためにしっかりストレッチをして下さい。
特にダウンでのストレッチは重要です。 - 定期的なマッサージやケアで疲労をためないようにしましょう。
- サポーターやバンテージの使用も予防には有効です。
- 足を冷やさないに気を付けて下さい。(夏場のエアコンに注意)
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