スポーツ外傷・障害
疲労骨折
疲労骨折とは…
骨折を起こすような大きな外力ではなく、ランニングやジャンプなど、通常のスポーツ動作で繰り返し加わる外力によって、骨に微小骨折が生じた状態です。疲労骨折の発生の誘因として急に練習量が増える時期や、久しぶりに運動を再開した新入生に発生しやすいことが特徴です。
疲労骨折の発生原因は主に2つ…
- 通常運動による骨への外力は、筋肉や関節の緩衝作用によって軽減されていす。
しかし疲労によってそういった緩衝作用がうまく働かなくなると、骨にかかる負荷が増加し、骨折にいたります。 - 運動による反復した筋肉の収縮が骨を引っ張り、骨に折り曲げるような負荷が繰り返しかかり骨折にいたります。
代表的な疲労骨折と好発競技
疲労骨折は十分な筋力や柔軟性と、正しく効率的な身体の使い方が出来れば、ある程度防ぐことのできるスポーツ障害です。
逆にそういったことが不十分な場合は、同じ疲労骨折を繰り返します。
そのため適切なケアやリハビリ、トレーニングが非常に重要です。
また練習量の多い選手は、疲労を溜めないようにするための、セルフケアも必須です。
疲労骨折の中には難治性のものもあり、そういった場合は手術や長期間の運動中止が必要になるため、注意して下さい。
尺骨疲労骨折
- 物を握って肘や手首を振る動作を多用する種目に発生。
(剣道、ソフト、太鼓など) - 方形回内筋、深指屈筋、尺側手根屈筋の3つの筋肉の収縮力が、右の赤いラインの部分にストレスをかけ、疲労骨折を起こさせる。
- 復帰目安 1~2ヶ月
恥骨疲労骨折
- 腹直筋の牽引力と内転筋の牽引力が近い部分にかかり、そのストレスが繰り返されることにより、疲労骨折が起こる。
- 股関節の硬さや筋力不足が原因で、屈曲方向の動作がうまくおこなえていないと起こりやすい。
脛骨疲労骨折
疾走型
- 脛骨の上1/3や下1/3に発生。
- 太ももの後ろやふくらはぎの筋肉の牽引力、ランニング時の着地の衝撃により発生。
- 比較的短い期間の安静で復帰できることが多い。
跳躍型
- 脛骨中1/3 に発生。
- 多くが難治性であり、復帰までに非常に長い期間を要することが多い。
- ジャンプ動作の多い種目の選手で、すねの前面中央部の痛みがある場合は要注意。 復帰目安 疾走型 1~4ヶ月
跳躍型 3ヶ月~数年
腓骨疲労骨折
疾走型
- 腓骨の下1/3 に発生。
- ランニングなどつま先で走る際の筋肉の収縮力が原因。
跳躍型
- 腓骨上1/3 に発生。
- 跳躍の着地時の衝撃とひらめ筋の収縮による負荷が原因。 復帰目安 跳躍型 1~2ヶ月疾走型 2~3ヶ月
ジョーンズ骨折
- 第5中足骨の近位部の疲労骨折。
- サッカー選手に多い。
- 通常ならば1本の血管がつながっているのに対し、第5中足骨は、3つの血管が走行していて、血管が合流する部分に骨折が生じるため骨が癒合しにくく、難治性となる。
足舟状骨疲労骨折
- 陸上競技中長距離選手に稀に発生。
- その多くは難治性である。
- 不完全骨折や転位のない早期の骨折であれば、 6~8週間のギプス固定と免荷が原則で、このような保存療法で約80%が治癒する。
- 活動性の高いスポーツ選手では保存療法を行っても再発する事が多く、復帰にも時間がかかるため、観血的な治療(手術)も選択される。
手術後から競技復帰までは3か月以上かかる。
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