当院での症例
右股関節痛 50代女性 ランナー
【主訴】
以前からランニング中に右股関節の痛みがあり、走る量を調整しながらしばらく続けておられました。
しかしフルマラソンに出場した後から痛みが強くなったため、整形外科を受診され、レントゲン検査の結果、骨や関節の異常はないとの診断を受けました。
その後もしばらく走るのをひかえていましたが、痛みが消失しないため来院されました。
【状態】
股関節の前から外側にかけて痛みがあり、特にランニング後は痛みが強くなって、翌日ぐらいまでは日常生活でも痛みを感じる状態でした。
股関節の動きも硬く、またおしりの筋肉も見た目で左右差がわかるぐらい弱った状態でした。
症状から関節唇という軟骨組織の損傷も考えられましたが、とりあえずリハビリと治療をしながら様子をみて、経過が良くなければMRI検査を受けるということで、患者さんご本人とお話し決定いたしました。
【経過】
初診
しばらくの間痛みのある状態でランニングを続けていたこともあり、股関節周囲の筋肉が硬くなっていたため、まずはそれを改善していくためのマッサージやストレッチなどをおこなっていきました。
リハビリでは弱ったおしりの筋力強化と股関節の可動域拡大を目的としたメニューを中心にスタートです。
この時点では、1ヵ月半後のフルマラソンに出場予定だったため、ランニングは続けながら治療とリハビリを進めていきました。
4週間後
当初よりも痛みなく走れる距離は伸びてきていましたが、15㎞以上になるとやはり痛みがでてしまうため、予定していたフルマラソンは棄権することになりました。
次のレースまでは半年ほど期間があくので、患部を少し休ませるためランニングは1日置きぐらいで5㎞以下に制限してもらいました。
8週間後
約1か月間走る量を抑えていたので、患部の痛みや股関節周囲の硬さも改善してきました。
またおしりの筋力もアップしてきたため、股関節から体幹や太ももも含めたメニューを追加していきました。
ランニングも10㎞まで伸ばしました。
11週間後
15㎞弱走って少しおしりの筋肉のはりは出ましたが、痛みはありません。
13週間後
平日は6~7㎞、週末16~18㎞の距離で毎週練習し始めました。
走った後のはり感のみで、痛みはありません。
16週間後
20㎞走ってもランニング後のはり感のみで、特に痛みはありません。
現在は少しずつスピードも上げながら練習を続けておられます。
これまでも走るのを中止して一時的に痛みがおさまる事はあったようですが、ランニングを再開すると再び痛みが出ていました。しかし今回は、部股関節の可動域と筋力がしっかりアップしたことで、ランニング再開後も痛みを出さずに続けられています。
一時的に休ませることで改善する痛みもありますが、何度も繰り返すような痛みはやはり根本的な解決が必要です。
痛みを抱えている期間が長ければ長いほど、復帰までにかかる時間も長くなってしますので、なかなか改善がみられないケガや痛みは早めに専門家に診てもらうことが大切です!
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