当院での症例
腰椎椎間板ヘルニア 14歳 ラグビー
【主訴】
2ヶ月前から腰の痛みと左脚のしびれが出始め、約2ヶ月プレー中止していたが軽快しないため受診。
当院受診前に整形外科にて腰椎椎間板ヘルニアと診断
【状態】
前屈では指先が膝に付くぐらいで左腰に痛みがあり、仰向けで寝ている状態から約30°脚をあげるとしびれが出る状態。
左腰〜お尻の筋肉の硬さが強く、ヘルニアによる神経の痛みと筋肉の硬さによる痛みが両方ありました。
また、股関節の動きが制限されていたり、体幹の筋力の弱さもありラグビーの激しいプレーに耐えられる体ではありませんでした。
【経過】
初診
ラグビー復帰に向けての治療とリハビリスタートです。
治療は腰〜骨盤、股関節周囲の筋肉の硬さをとるための徒手療法やストレッチなどをしていきます。
特にお尻の筋肉の硬さは股関節の動きを制限するのでお尻の筋肉にはしっかりとアプローチしていきます。
また、股関節の動きが制限されていると腰への負担が増えるので、股関節の可動域改善、腰〜骨盤、股関節周囲の筋緊張の緩和をしていきます。
リハビリはラグビーのタックルやスクラムなどにも耐えることが出来るように体幹の筋力強化をしていきます。最初は腰に負担をかけないように負荷の低い体幹強化のメニューをしていきます。
まずはお腹のインナーマッスルを鍛えて体幹の安定性を向上していきます。
最終的には、徐々に負荷を上げてよりラグビーに近い動作で体幹の強化をして競技復帰を目指します。
※リハビリは全て腰の痛みのない範囲で行います。
1週間後
まだ腰の痛みや脚のしびれはありますが前回よりも仰向けで寝た状態から脚が上がるようになりましたこれは神経の痛みが軽減している事を意味しています。
いい調子です。
リハビリはまだ負荷を上げずに体幹強化のメニューをしていきます。
2週間後
前屈での腰の痛みが軽減してきました。
初診時は指先が膝に付くぐらいで痛みがありましたが、現在はスネの中央あたりまで指先が付くようになりました。あと仰向けで寝た状態から脚を上げてもしびれが出なくなりました。
リハビリは少し負荷を上げて動きをつけながら体幹の強化をしていきます。
ラグビーの複雑な動きの中でも安定した強い体幹を獲得するためにおこないます。
3週間後
脚のしびれは完全に無くなりました。
腰の痛みはまだありますが指先が床に付くようになりました。体幹の筋力も順調に向上していますが股関節の可動域が復帰するためには十分ではないので自宅でもストレッチなどをしてもらい可動域を改善していきます。
リハビリは腰の痛みが軽減してきたのでさらに負荷を上げたコアトレーニングをしていきます。
コアトレーニングは腰に痛みがある時は行わないでください
4週間後
腰の痛み、脚のしびれは完全になくなりました。
股関節の可動域も改善してきたためリハビリの負荷をあげ、より競技中の動作に近い状態での筋力強化をおこない競技復帰を目指します。
5週間後
タックルなどのあたり以外の練習に部分的に復帰できました!
腰の痛みやしびれはでていません。
体幹の筋力、股関節の可動域も良好です。
6週間後
全ての練習メニューに参加できました!
腰の痛みやしびれもでていません。
ただ練習後に腰〜お尻の筋肉の硬さがでて前屈の可動域が悪くなっていたので、マッサージやストレッチなどのケアをおこないます。
練習には復帰しましたが再発予防のためにリハビリとケアは継続しておこなっていきます。
12週間後
無事に試合にも出場しました!
試合中や試合後も腰の痛みやしびれはでていません。
股関節の可動域、体幹の筋力も当初に比べるとかなり向上したのでこの段階でリハビリは終了です。
ただ競技復帰した後も、体幹の筋力が弱くなってきたり股関節の可動域が悪くなってくると再発の可能性があるのでこれからもグランドや自宅で再発予防のためのリハビリやセルフケアを行って頂きます。
腰椎椎間板ヘルニアが起こる原因は多岐にわたりますが、股関節の可動域の悪さや体幹の筋力の弱さなどがある場合は腰への負担が大きくなりヘルニア発症のリスクを高めてしまいます。ラグビーなどのコンタクトスポーツでは特に体幹筋力や股関節の可動域が非常に重要になります。
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