アスリート鍼灸整骨院 アスリートトレーニングセンター

インピンジメント症候群

インピンジメント症候群とは…

腕を上げる動作の途中で、上腕骨の一部(大結節)と肩の骨(肩峰)が衝突し、その間にある腱板や肩峰下滑液包といった組織が挟み込まれることがあります。これを「インピンジメント(挟み込み)」といい、繰り返し刺激が加わることで炎症が起こり、痛みや動かしにくさが生じます。

この状態は安静にしていれば自然と回復することもありますが、痛みを我慢して同じ動作を繰り返すと、症状が慢性化するおそれがあります。特に、バレーボールや野球、水泳など肩を酷使するスポーツを行う方によく見られる症状です。

進行すると、腱板の部分断裂や、肩峰下に骨のとげ(骨棘)ができてしまい、痛みが長引くケースもあります。そうなると、日常生活や競技に支障をきたすこともあり、場合によっては手術が必要になることもあります。

骨の衝突(インピンジメント)が発生し、その間に挟まれた腱板や滑液包がダメージを受ける!

《症状》

  • 腕を上げたときの痛みとひっかかり感
  • 大結節周囲の張れや熱感
  • 症状が強くなると安静時や夜間痛も出現
右肩前面

《原因》

肩のインピンジメント症候群の原因は、大きく「ケガ」と「使いすぎ(オーバーユース)」に分けられます。

■ 一度の大きな負荷によるもの(外傷性)

瞬間的に肩に強い負荷がかかることで、肩関節周囲の組織が損傷し、機能不全が起こるケースです。具体的には以下のような動作が原因となることがあります。

  • スポーツ中の肩からの衝突や転倒
  • 重いものを急に持ち上げたり支えたりしたとき

こうした急激な負荷により、肩の組織に損傷が生じ、痛みや可動域制限につながります。

■ 小さな負荷の繰り返しによるもの(オーバーユース)

日常的な動作やスポーツなどで、肩に小さな負荷が繰り返し加わることで、顕微鏡レベルでの微細な損傷が蓄積していくケースです。

このような慢性的な負担の背景には、

  • 肩関節や肩甲骨まわりの筋肉の柔軟性低下
  • 筋力の低下
  • 姿勢や動作のクセ(動作不良)

といった要因があります。こうした状態では、本来スムーズに行われるべき腕を上げる動作がうまくいかず、肩関節内でのインピンジメントが起こりやすくなります。

《治療&セルフケア》

インピンジメント症候群の改善には、原因に応じた適切なケアが大切です。

① 炎症を抑えるための安静とアイシング

まずは、炎症を抑えることが最優先です。痛みの出る動作やスポーツの練習は一時的に控え、肩に負担をかけないよう安静を心がけましょう。

また、運動後にはアイシングを行い、患部の炎症を抑えます。
目安としては、15分間のアイシングを2〜3セット行うと効果的です。

なお、運動後以外に長時間アイシングを続ける必要はありません。冷やしすぎは血行不良を招くおそれがあるため注意しましょう。

② 柔軟性の向上で再発予防

肩関節や肩甲骨まわり、背中の柔軟性を高めることも、回復と再発予防の大きなポイントです。

当院では、ストレッチや手技療法、鍼施術などを組み合わせて、柔軟性の回復をサポートしています。

ご来院が難しい場合は、セルフストレッチストレッチポールを使ったエクササイズなどを積極的に行うようにしましょう。特に姿勢の改善や肩甲骨の動きを引き出す運動が効果的です。

③肩周囲のアウターとインナーのアンバランスを改善します。

肩の安定性を保つには、「アウターマッスル」と「インナーマッスル」のバランスがとても大切です。

  • アウター:肩の外側にある大きな筋肉(三角筋など)
  • インナー:肩の内側にある小さな筋肉(回旋腱板=ローテーターカフ)

動作の際にインナーマッスルがうまく働かず、アウターマッスルばかりを使ってしまうと、肩関節の安定性が損なわれ、インピンジメント症候群を引き起こしやすくなります。

当院では、インナーマッスルの強化トレーニング方法も紹介しております。予防や再発防止に役立ちますので、ぜひ参考にしてみてください。

④ インナーマッスル以外のリハビリ・トレーニング

インナーマッスルの強化に加えて、以下のようなポイントにもアプローチしていくことが大切です。

  • 肩甲骨のスムーズな動きの獲得
  • 胸郭(肋骨まわり)の安定性強化
  • 背中や体幹の柔軟性向上

これらはすべて、肩の動作を支える土台となる要素です。競技の特性や症状に合わせて、リハビリやトレーニング内容を調整していきます。

⑤ フォームの見直し

痛みの原因が、肩そのものではなく、動作フォームのクセ全身の使い方にあることも少なくありません。

当院では、動作やフォームのチェックを行い、必要に応じて改善のためのリハビリやトレーニング指導を行っています。フォーム修正により、再発防止やパフォーマンス向上にもつながります。

⑥ テーピングによるサポート

必要に応じて、肩の安定性を高めるテーピングを行うこともあります。
特に、ローテーターカフ(腱板)の動きを補助することで、動作時の痛みを軽減する効果が期待できます。

当院での症例です。
受傷から復帰までの経過を載せております↓
右肩インピンジメント症候群 18歳女性 バレーボール