当院での症例
腸脛靭帯炎 16歳 サッカー
【主訴】
走り込み練習後に急に膝の外側が痛みだし数日経過しても膝の痛みが軽減しないため来院されました。
【症状・状態】
膝の外側の痛みが強く、少し腫れもありました。
特に膝の曲げ伸ばしで膝外側の痛みが強くなります。筋力や柔軟性をチェックしたところ、股関節の動きが全体的に悪く、腸脛靭帯もかなり硬くなっていました。
片脚立ちになった時も中殿筋というお尻の筋肉がうまく働いておらず体が少し傾くような姿勢になっていました。
※中殿筋の筋力低下があると腸脛靭帯に負担をかけてしまいます。
このことからお尻の筋肉の筋力低下と股関節の動きの悪さが腸脛靭帯に負担をかけ発症したと考えられました。
また大会前の大事な時期という事もあり、練習は休まず左膝をかばいながらプレーを続けていました。
【経過】
初診
まずは硬くなってしまった腸脛靭帯や股関節周囲の筋肉のマッサージやストレッチをしていきます。
これで膝の曲げ伸ばしでの痛みが軽減しました。
リハビリも必要でしたがまずは痛みを軽減させる事を優先しこの日は治療のみです。
本人から大会前の大事な時期でメンバー発表までにできるだけアピールしたい為練習は休みたくないという要望がありました。
現在の膝の状態で無理にプレーをするよりも一度プレーを中止してリハビリをしてから復帰するのが理想的でしたが、練習に参加しながら治療とリハビリをする事になりました。
プレー中の痛みを少しでも軽減させるためテーピングの巻き方とストレッチの方法を伝えて帰ってもらいました。
4日後
膝の痛みをかばいながらプレーしている事をコーチに指摘され、膝が治るまでは練習に参加しないようにと言われ、練習は休み治療に専念する事になりました。
膝の痛みは少しマシでしたがまだ膝の曲げ伸ばしでの膝の痛みはありました。
1週間後
練習を休んでいる事もあり膝の曲げ伸ばしでの痛みは軽快していました。
ただ脚を踏み込んだり、片脚でスクワットなどをするとまだ痛みが出ます。
この日からリハビリの開始です。
リハビリの内容はお尻の筋肉の筋力強化と股関節の可動域改善をして腸脛靭帯への負担を減らす事です。
治療は硬くなってしまった腸脛靭帯や股関節周囲のマッサージやストレッチをしていきます。
休んでいる間グランドでしてもらうリハビリやストレッチのメニューを伝え帰ってもらいました。
2週間後
膝の痛みはかなり軽減しました。リハビリやストレッチも真面目に頑張ってくれていた為、筋力や柔軟性も順調に向上しています。
これから段階的に復帰していきます。
まずは基礎練習とジョグのみで、ダッシュや長距離のランは禁止です。
16日後
基礎練習とジョグをしても膝の痛みが出ませんでした。片脚立ちや片脚スクワットなどをしても中殿筋がうまく働き体が安定してきました。次は練習に完全復帰です。
3週間後
練習に完全復帰できました。
膝の痛みも出ていません。
筋力や柔軟性も当初に比べるとかなり改善したので、これからは再発予防としてストレッチなどのセルフケアを継続するように伝え治療とリハビリはこれで卒業です。
この4か月後に腰の違和感で来院されたときも腸脛靭帯炎は一度も再発していなかったそうです。
腸脛靭帯炎は走り込みなどをすると一時的に痛みが強くなりますが、安静にしていると軽快する事が多いです。
ただ筋力や柔軟性などが改善していなければ再発する可能性が非常に高くなります。
なので一時的に痛みが軽減しても、しっかりとリハビリをしてから復帰する事が重要です。
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