当院での症例
左鎖骨骨折 15歳男性 野球
【症状・状態】
守備練習中、捕球の際ボールがイレギュラーし左鎖骨に当たり受傷。
受傷から2週間経っても痛みが変わらないため来院。
【経過】
初診
左肩の関節可動域は問題なし。動作時の痛みも伴わない。
やや鎖骨に腫れと圧痛はみられたが、受傷後のプレーも問題なく行っていたこともあり、運動制限はなし。
投球時やスイングで痛みが強くなるのであればプレーは中止。
4日後
打撃練習中、スイングした際に痛みが強くなり整形外科へ受診。
レントゲンの結果、左鎖骨骨折と診断。
バストバンド+三角巾で固定し、約2週間安静。
1.5週目
当院へ再受診。この日から骨折用超音波治療器のみでの施術を開始。
後日、整形外科へ再受診。
骨折部の転移・骨折線の貫通もなく、骨癒合も良好。
軽いキャッチボール・スイングは許可。
バストバンド+三角巾での固定除去。
肩関節・肘関節に大きな可動域制限はないが、前腕・上腕にやや筋力低下は見られる。
翌日からリハビリテーション開始(30分)。
腕立てなど床に腕をついたりして鎖骨に大きな外力がかかる運動はなし。
肩のインナーマッスルの強化、鎖骨に痛みや大きな外力がかからない程度で肩を動かす可動域訓練を行う。
週2回のペースでリハビリテーション・超音波治療、リハビリをしない日にも週2~3回超音波治療を行う。(超音波治療は実質週4~5回)
3週目(受傷から約1ヶ月)
整形外科での再診。
骨癒合は良好、骨折線は残存。
腕立てなど手をついての運動許可、練習復帰許可。
3週間後整形外科に再診予定。
ここから当院で行っていたトレーニング(90分)を再開。
患部周囲のトレーニングに加え、下肢や体幹の患部外トレーニングも行う。
患部のトレーニングでは、腕立て伏せやサイドレイズなど(鎖骨に対して大きく体重が乗ったり、鎖骨の前後・垂直・回旋の動きを伴うトレーニング)。
治療としては、2週間固定していた為、前胸部や頸背部の筋の硬さを緩和させる徒手療法も
超音波治療と併行して2~3回のペースで行う。
この時点でフルスイングで少し怖さが残るが、投球は問題なし。
6週目
整形外科での最終診察。
骨折線も消失、次回再診もなし。
フルスイングでの患部の恐怖心は消失。トレーニングで重たい重量を持つとやや怖さがでるが痛みはなし。
超音波治療器による施術も終了。
骨折時のリハビリテーションについて
リハビリが遅れると機能回復に支障をきたすおそれがあります。
長期間固定することによって、筋肉の量が減って細くなる(萎縮)ほか、関節も固定した場合は固まって動きが悪くなる(拘縮)ことがあります。
リハビリは、このような状態から筋肉や関節を回復させ、もとの機能を取り戻すためのものです。
骨折部の安静を保ちながら、それ以外の部分は早期から動かすリハビリによって、骨折部の血行もよくなり、骨の癒合が促されるというメリットもあります!
※早く復帰したいといって、ドクターの指示なしにむやみにリハビリを行うと再負傷や再骨折などの危険があります!必ず専門の先生に診てもらい、きっちりと段階的に治療・リハビリを行う事が復帰への近道となります!
骨折用超音波治療器について
当院では骨折に対する積極的な治療法として、超音波治療器(オステオトロンⅣ)を使用しています。
超音波骨折治療法とは、出力の弱い超音波を20分間断続的に発振することで、骨折部位に音圧刺激を与え、骨の癒合を促進します。
超音波治療を行うことで、骨癒合期間を最大で約40%短縮することができます。
外傷性の骨折だけでなく、疲労骨折にも効果的です。微弱な刺激なので痛みなどを感じることはありません。
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